書籍概要
そう願う声楽家や音楽愛好家のための画期的な一冊。
本書は、シューベルトの三大歌曲集《白鳥の歌》《冬の旅》《美しき水車小屋の娘》の全曲を、テノール歌手である著者が実際に歌うために創作した日本語詩を収録。単なる直訳ではなく、シューベルトの美しい旋律に乗せて自然に歌い上げることができる「邦詩」として生まれ変わった作品集です。
各曲には、楽曲の背景を読み解く「作品解説」と「情景が目に浮かぶ日本語訳詞」を掲載。声楽家のみならず、クラシック音楽ファンにも最適な充実の内容となっています。
Amazonで作品詳細を見る言語の壁を越え、日本人の心に響くシューベルト
ミュラーやザイドル、ハイネの詩がシューベルトの音楽と出会って不朽の名作となったように、日本語の言葉もまた、シューベルトの音楽と新たな出会いを果たすことができるはずです。水車小屋の若者の純粋な恋心、冬の旅路を行く孤独な男の絶望、白鳥が最期に歌う歌——これらの普遍的な感情は、日本語によってさらに深く心に届きます。
はじめに
シューベルトの歌曲を、日本語で歌いたい——。
そう願う声楽家や音楽愛好家は少なくありません。しかし、ドイツ語の詩を日本語に置き換えることは、単なる翻訳以上の挑戦です。原詩の韻律、音楽のリズム、そして詩人が込めた情感。
これらすべてを日本語という言葉の器に移し替えるには、翻訳者自身が歌い手として、音楽と言葉の両方を深く理解していなければなりません。
本書は、シューベルトの三大歌曲集《白鳥の歌》《冬の旅》《美しき水車小屋の娘》の全曲を、テノール歌手である私が実際に歌うために創作した日本語詩を収録したものです。
これは単なる対訳ではなく、日本語として歌える「邦詩」——つまり、シューベルトの旋律に乗せて歌うことができる日本語の詩です。
本書を手に取られた皆様が、シューベルトの歌曲を日本語で歌い、あるいは聴くことで、この偉大な作曲家の音楽世界をより身近に感じていただけることを願っています。
サンプル原稿公開
『白鳥の歌』の第1曲「愛の使い」は、遠くにいる好きな人に想いを伝えたいという、ロマンチックな歌です。
若者は小川の流れにメッセージを託そうとします。「好きな人の庭の花を元気にしてほしい」「彼女が夢を見ているときには優しく見守ってほしい」と願い、夕日が沈むときには「小川のせせらぎで彼女を眠らせて、愛の夢を見させてほしい」と歌います。
小川のせせらぎを表現した流麗なピアノ伴奏が特徴で、喜びや期待の中にほのかな切なさが滲む名曲です。(詩:ルートヴィヒ・レルシュタープ)
日本語歌詞「愛の使い」
僕の手紙を持って 彼女に届けてくれ!
彼女の庭にある すべての花々と
彼女の胸にある花に 君の水を満たしてくれ!
彼女の花々と 彼女自身を守ってくれ!
もし彼女が岸辺で 夢にふけり
僕のことを 寂しく 思ったら 優しく 慰めておくれ!
僕は彼女の所へ もうすぐに向かうから
夕日が 沈みかけたら
彼女に ささやいて 眠りにつかせてくれ!
僕の夢を見せて 愛に満ちた夢を見せてくれ!
ドイツ語原詩 (Liebesbotschaft)
Rauschendes Bächlein, So silbern und hell,
Eilst zur Geliebten So munter und schnell?
Ach, trautes Bächlein, Mein Bote sei Du;
Bringe die Grüße Des Fernen ihr zu.
All' ihre Blumen Im Garten gepflegt,
Die sie so lieblich Am Busen trägt,
Und ihre Rosen In purpurner Glut,
Bächlein, erquicke Mit kühlender Flut.
Wenn sie am Ufer, In Träume versenkt,
Meiner gedenkend Das Köpfchen hängt;
Tröste die Süße Mit freundlichem Blick,
Denn der Geliebte Kehrt bald zurück.
Neigt sich die Sonne Mit rötlichem Schein,
Wiege das Liebchen In Schlummer ein.
Rausche sie murmelnd In süße Ruh,
Flüstre ihr Träume Der Liebe zu.
参考訳(直訳)
ざわめく小川よ、銀色に、そして明るく、
そんなにも陽気に、速く 君は愛しい人のもとへ急ぐのか?
ああ、愛しき小川よ、私の使者となっておくれ。
遠くにいる者からの挨拶を 彼女に伝えておくれ。
彼女が庭で手入れをした すべての花々、
彼女が胸に愛らしく つけている花々、
そして深紅の輝きを放つ 彼女の薔薇たちを、
小川よ、冷たい流れで 潤しておくれ。
彼女が岸辺で、物思いに沈み、
私のことを想い うなだれているなら、
優しいまなざしで 愛しい彼女を慰めておくれ。
なぜなら、愛しい人は すぐに帰ってくるのだから。
太陽が 赤みがかった光を帯びて傾き、
愛しい彼女を 眠りへと誘うとき、
ささやきながら 彼女を甘い安らぎに包み、
彼女に愛の夢を ささやいておくれ。
著者・訳詩者プロフィール
主要著作・論文
- 電子書籍『日本語で味わう シューベルト三大歌曲集 《白鳥の歌》《冬の旅》《美しき水車小屋の娘》』(Amazon Kindle)
- 著書『五分の一に入る生き方』(マーキュリー出版)※全国88館以上の図書館に収蔵
- 電子書籍『経営学を活かして 社内企業家をめざそう』(Amazon Kindle)
- 論文「企業家特性・戦略・組織構造が企業業績に与える影響について」『南山論集』1999年